半導体の内部で電気信号伝達を担う基幹部材であるボンディングワイヤには,化学的に安定している金(Au)がこれまで 50 年以上して使用されてきた.低コストで高伝導性のある銅(Cu)ワイヤの開発が挑戦されてきたが,酸化問題等により LSI 用途では実用化されなかった.Cu の表面に薄い Pd 被覆を形成した Pd 被覆 Cu ワイヤを開発した.独自の被覆構造設計により,従来の Cu ワイヤが解決できなかった信頼性の課題を克服している.具体的には,耐酸化性付与によるワイヤ寿命向上,高い接合性,ボール形成時の水素フリー化,高湿加熱環境下での接合信頼性向上などを達成し,Au ワイヤと同等の高い信頼性を実現している.Pd 被覆 Cu ワイヤは Au ワイヤと同等の高信頼性を達成しており,最先端LSI への要求に応えられる Cu ワイヤとして新たな市場を開拓した.