抄録
産業機械を対象とした災害防止対策では,確率計算に基づいて残存リスクの定量的評価を行うことがある.しかし,この方法では,確率的なリスク評価に含まれる不確定性の方が災害発生率の推定値と比較して桁違いに大きい場合もある.このため,本報では,蓬原・向殿・杉本らによって提案された安全の原理(安全か危険か分からない不確定なものは,すべて危険と見なす)にしたがって,安全確認システムの非対称誤り率ηに最悪値評価としてη=1を与えるなどの方法により,リスク評価に含まれる不確定性を根絶できる手法を提案した.また,この手法をプログラマブルな電子制御装置で構成される安全確認システムに適用したところ,筆者らが設定した災害防止の目標値を達成するには,自動監視付きで監視速度が遅い場合,異種三重系以上の構成を必要とすることが判明した.