日本信頼性学会誌 信頼性
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労働安全の国際化に伴う事業者責任の考え方 (保全性特集 保全性から信頼性,安全性へ)
杉本 旭
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2003 年 25 巻 7 号 p. 657-665

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抄録

「リスク」に基づくグローバルな安全の体系化が進められているが,これを取り入れながらも,わが国の安全の考え方が,国際的に異端視されている.基本的な違いは,わが国の安全が最低限の配慮を要求するのに対してグローバルな安全では,その時代の最高レベルの配慮('State of the art'の原則)を要求する点である.リスクに基づく安全には,事故の責任を予測し,設計者は予め「受容可能」の判断を行うこと(決定論)が不可欠である.本稿では,わが国が欧州のリスク文化を正しく継承していないことを示し,労働安全の第一義的責任は,事業者の果たすべき'State of the art'の原則によって生じていること,また,この厳格な事業者の責任が,欧州の宗教で基礎付けられるスチュワードシップとアカウンタビリティの責任の体系で与えられることを示す.

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© 2003 日本信頼性学会
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