2010 年 32 巻 1 号 p. 47-52
航空機の空中衝突の防止は航空交通管制業務の重要な課題である.管制の方式の設計や安全性の評価には,多くの場合,リスクを推定している.このための数学モデルは1960年代から多数開発され応用されてきた.しかし,応用できる範囲が限定的で,複雑で容易に理解し難いものが少なくなかった.近年,これらのモデルを統一的に導出するための手引書なども利用できるようになり,様々な問題への応用が可能になりつつある.本稿ではこの衝突リスクを推定するモデルの考え方,代表的なモデルについて概説し,今後の課題などについて述べる.