日本信頼性学会誌 信頼性
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通信ネットワーク信頼性の新動向(<特集>通信ネットワークと社会)
林 正博
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2011 年 33 巻 5 号 p. 230-235

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抄録
通信ネットワークの高信頼性は,一定の信頼性評価尺度を導入し,この信頼性評価尺度の値が定められた規定を満足するように冗長構成を導入することで実現されている.このとき,信頼性評価尺度として不稼働率を用いることが一般的である.しかし,最近,不稼働率を用いることに対する疑問が提示されている.それは,不稼働率が,故障発生件数の多さを表す故障頻度と,修理時間の長さを表すMTTRを乗算した値であり,従って,不稼働率で信頼性を評価する場合,故障発生件数が千年に一度などの極めて小さな場合には修理時間が長くても問題ない,及び,修理時間が極めて迅速である場合には故障が多発しても問題ないとすることを暗黙の前提としているからである.本論文では,この疑問に対する筆者の研究結果を紹介し,不稼働率に代わる新たな信頼性評価尺度の導入の可能性を探る.また,簡単な数値実験により,不稼働率に代わる新信頼性評価尺度に基づいて信頼性を評価した場合,同一の通信ネットワーク構造においても,不稼働率で評価した場合とは異なる信頼性の特性を示す可能性があることを報告する.
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© 2011 日本信頼性学会
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