抄録
日本はエネルギーをはじめ産業及び生活に必要な物資の多くを輸入に頼っており,その輸送の主体を 担っているのが船舶である.船舶も他の交通モードと同様に,建造から運航,リサイクルに至るまでの 各段階で安全性を確保する対策が取られているが,本稿では,それらのうち,船舶の運航時,すなわち 海上交通を対象として安全対策等について述べる.まず,船舶の運航の概要と船舶の日本周辺での事故 の状況を示した上で,船舶事故の内容と海域のリスクを見える化し,安全向上に寄与する目的で運輸安 全委員会が公表しているハザードマップについて紹介する.さらに,著者が所属する研究グループが携 わってきた技術開発例として,海上リアルタイムハザードマップと目視認識支援装置を紹介し解説する.