2017 年 39 巻 4 号 p. 185-190
JIS において,信頼性は「与えられた条件で規定の期間中,要求された機能を果たすことができる性 質」,安全(性)は「人への危害又は資(機)材の損傷の危険性が,許容可能な水準に抑えられている 状態」と定義されている.しかしながら,時々刻々と変化する状況の中で,安全かつ円滑な航空交通流 を実現している航空管制サービスあるいは航空管制業務に着目した場合,信頼性と安全性が意味すると ころは,必ずしも前述の定義にとどまらないように思われる.本稿では,航空管制業務の一端を紹介し ながら,航空管制業務における信頼性と安全性について考察する.特に,多様かつ変動する状況下で行 われる航空管制業務においては,処理効率,リスク低減,経済性等の個々の機能のパフォーマンスを一 定に保つのではなく,むしろ,それらを動的に調整することによって,全体として高いレベルのサービ スが継続的に維持されているという実態について詳細に述べる.また,航空管制分野における信頼性・ 安全性のさらなる向上を目指した取り組みの例についても紹介する.