抄録
今後のシステムは,コンポーネントがつながることで複雑化するため,その中に潜む予期せぬ事象が事故につながる可能性がある.IT システムの多くは信頼性を重視してきているが,安全性への考慮がより一層求められる.
そのような中,複雑なシステムをも対象にできる安全分析の手法として STAMP/STPA が注目されている.この手法は,信頼性がある場合にも事故は起き得るという考えに基づいており,そのような事故原因の特定にも適用できる.そこで,筆者らはシステムの安全性を高める上で STAMP/STPA が有効と考え,活用に向け調査および適用検証を進めている.
調査の過程で,STAMP/STPA には,事故原因を特定する際に行う“システムの環境や状態”の導出についての考え方が十分に示されていない,という課題があることがわかった.筆者らはそれらの導出を容易にするために,6W3H の視点を適用した改良案を考案した.STAMP/STPA を適用して予期せぬ事象から発生しうる事故原因を特定する上で,この考案手法は有効である.