2013 年 51 巻 2 号 p. 199-210
本研究では,発達障害の傾向がある子どもの人数や発達障害に関する知識の程度と保育士のバーンアウトとの関係を明らかにすることを目的とした。84か所の保育所(園)に質問紙調査を行い,607名の保育士の回答を得た。バーンアウトを従属変数とした重回帰分析の結果,発達障害の傾向がある子どもの数と保育士の発達障害に関する知識,クラスの担任保育士数が保育士のバーンアウトに関係していることが明らかとなった。一方,診断を受けている障害児の数は保育士のバーンアウトと関係していなかった。そのため,未診断であるがゆえの困難さが保育士のバーンアウトに影響していることが示唆された。また,保育士自身が発達障害の知識をもつことや保育士の人手不足を改善することが,保育士のバーンアウトを防ぐ可能性がみられた。