人間にとって,地球の資源が有限であることが切実な問題となっている今,SDGsへの取り組みが世界的な渦を巻き起こそうとしている。このSDGsの基底を成すのが,生物多様性である。生物多様性保全は,人間にとって重要な課題でありながら,身近な生き物に触ることすらできない大人は増える一方である。
「触れる」ことは,子どもたちに様々な生き物の存在の確かさを実感させ,生き物の生と死をめぐる様々な物語に子どもたちを出会わせていく。その体験にとってまず必要なのは,生き物が生息する豊かな環境である。そして,命に向かう態度は,保育者が生き物に示す行動(モデル性)や,保育者と子どもの対話によって育まれる。
本論は,事例を通して子どもたちの「触れる」姿に焦点をあて,身近な生き物に親しみを持ち,その命の存在に心を動かす保育の在り方について考察する。
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