保育学研究
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原著<論文>
未診断の発達障害の傾向がある子どもの保育や保護者支援と保育士の心理的負担との関係
─バーンアウト尺度を用いた質問紙調査より─
木曽 陽子
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2016 年 54 巻 1 号 p. 67-78

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抄録

本研究の目的は, 未診断の発達障害の傾向がある子どもの保育において, 保育士の心理的負担につながる要因を明らかにすることである。84 か所の保育所 (園) に調査票を郵送し, 342 名分のデータを分析に用いた。まず、子どもの行動特徴, 保護者支援の困難さ, 園内外の連携のそれぞれを測る尺度を作成した。これらの尺度とバーンアウト尺度を用いて重回帰分析を行った結果, 未診断の発達障害の傾向がある子どもの保護者に対する「問題伝達の困難性」が「情緒的消耗感」「脱人格化」と正の関係を示した。一方, 子どもの行動特徴とバーンアウト尺度の関係は見られなかった。つまり, 未診断の発達障害の傾向がある子どもの対応は保育士の心理的負担にはならず, むしろ保護者へ子どもの課題を伝えることが心理的負担になると考えられる。

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© 2016 一般社団法人 日本保育学会
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