保育学研究
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原著<論文>
〈自閉スペクトラム障害〉をめぐる解釈レパートリーの構築過程
―幼稚園と親の会の共同性を中心に―
末次 有加
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2020 年 58 巻 2-3 号 p. 93-104

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抄録
本研究の目的は,自閉スペクトラム障害と診断された子ども(ASD児)の親が,どのように子育て実践を編成し,子どもの将来展望を見出しているのかを,親へのインタビュー調査を通じて明らかにするものである。本研究では,ASD児の親たちが,子どもの将来を展望するにあたって,K幼稚園と親の会が重要な役割を担っていることがわかった。 分析の結果,K幼稚園と親の会では,ASD児に固有の感覚や知識が習得・共有されていること,また,保育者は,日常的に親に対する手厚い支援を行っていることが確認された。さらにそうした共同体の実践を形作る規範として,①療育の脱中心化,②インクルーシブ教育への志向性,③定型発達的コミュニケーションの中心化が作用していた。K幼稚園と親の会という共同体に参画した親たちは,能力主義を前提とする教育や社会のドミナントなあり方を異化するような子育て実践の方略を創出していることが明らかとなった。
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© 2020 一般社団法人 日本保育学会
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