抄録
本研究では,4-6歳児48名に,「共有」という主題を含んだ現実的物語あるいは空想的物語を,紙絵本あるいはデジタル絵本のいずれかで読み聞かせを行い,その読み聞かせ前後で分配課題を行った。分配課題は,参加児が貰ったシール10枚の内の一部を,シールを貰っていない他児と分配するよう求めるものであった。その結果,読み聞かせ後に5枚以上のシールを他児に分配した参加児は,紙絵本/現実群(66.7%)で最も多く,次いでデジタル絵本の現実群(58.3%)と空想群(50.0%)で,紙絵本/空想群(25.0%)で最も少なかった。本研究の結果は,紙絵本・デジタル絵本の双方があることが,子どもの発達を支える豊かな環境に繋がることを示唆した。