抄録
本研究の目的は洞察(子どもの気持ちに気づくこと)と応答性(共感的な対応を取ること)のルーブリックを開発することであった。研究1で試行版を実施し,研究2では修正版を用い,実習生57名と初任保育士19名を分析対象とした。その結果,保育者効力感との間に低いから中程度の,有意な正の相関がみられ,一定の妥当性が確認された。また,自己評価ツールとしての有用性も示された。検定の結果は有意傾向であったが,洞察と応答性の3項目が,実習生よりも初任保育士の方が高い傾向が示唆され,一方で,初任保育士の保育者効力感が低い傾向が示唆された。ルーブリックの初任保育士支援のツールとしての意義や今後の課題について考察された。