2018 年 11 巻 1 号 p. 19-29
本研究では,拡大生産者責任(EPR)政策の理論的根拠について,主な既往文献のレビューを踏まえて考察した.本研究ではEPR政策が生産者に課す責任内容を分類した上で,効率性の観点からそれぞれの責任を課す根拠を検討するとともに,汚染者負担原則・公平性との関係,さらに分断型社会の克服との関係について考察した.その結果,多様な根拠が認められたが,それらは互いに補完的なものであった.個々の状況に応じた適用が可能ではあるが,諸条件を勘案するとしばしば財務的責任と物理的責任の両方を課すことが望ましく,あわせて情報的責任も適切に課すことが重要であると考えられた.