2021 年 14 巻 2 号 p. 13-27
日本は,高レベル放射性廃棄物を最終処分法(2000年)に則り地層処分と定めているが,未だ,国民の関心は限定的である.本研究は,地層処分の社会的議論形成の難しさに対して,市民と専門家との対話形式の異なる市民会議を3回実施し,質問票を用いて市民の政策選好を社会的受容性4要因(技術・制度・市場・地域)から考察した.山田他 (2019) では,一方向形式の会議を分析し,市民の政策選好の変容は限定的であり,その判断は技術的要因だけではなく,制度をはじめ社会的側面も関係する結果を得た.本稿は,3回の会議の比較分析を行い,技術的要因と制度的要因が市民の政策選好に高い相関性があることを示し,要因の特徴を明らかにした.