2024 年 17 巻 1 号 p. 1-13
本稿では,環境経済・政策学が環境省や経済産業省の審議会・検討会での議論にどう関与してきたか,筆者自身の経験をもとに振り返るとともに,今後のカーボンプライシングの制度設計に求められる役割を展望した.カーボンプライシングの必要性や有効性,炭素リーケージ,経済影響といった産業界からの懸念に対し,環境経済・政策学は一定の研究成果を挙げてきた.そして,環境経済・政策学会の会員が行ってきた様々な研究が,総体として政策議論の前進に貢献できたのではないだろうか.今後決定されるカーボンプライシングの詳細な制度設計における環境経済・政策学の貢献にも期待したい.