抄録
理学療法士養成過程の臨床実習において,学生が効率的に技能習得するための準備段階となるレディネス行動を引き出すために応用行動分析学的な介入を実施した.対象は学生四名であった.方法はレディネス行動19項目の課題を環境面・コミュニケーション面・学習面に分けた.これらを簡単で個人差なく数えられる課題に変換した.そして,各課題を実行したら直後に回数を記入でき,グラフ化することができる「レディネス行動シート」を作成した.学生が課題を実行した直後に記入,グラフ化し,後に指導者が目標達成や成長を祝い,喜び,感謝を伝えた.その結果,学生四名のレディネス行動の生起頻度は増加した.また,指導する回数を重ねる毎に各学生の最大行動回数は増加し,それまでに要した期間は短縮した.このことから,本介入は臨床実習開始当初から行動生起頻度を高めることができる方法であり,指導者側の随伴性操作スキルの向上にも繋がる可能性が高い方法であると考えられた.