リハビリテーションと応用行動分析学
Online ISSN : 2759-2588
Print ISSN : 1884-2658
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  • 田辺 尚, 遠藤 晃祥
    2023 年 10 巻 p. 1-8
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    対象者は,身体機能と認知機能に合わせたトイレ動作の細分化・点数化により,リハビリ時間内であれば一部の動作の介助のみで可能となっていた.しかし,病棟場面でのトイレ動作は,介助者と対象者双方に嫌子消失の随伴性または嫌子出現阻止の随伴性が機能していると考えられ,対象者にとっては介助を求めやすく,介助者にとっては過介助になりやすい状況になっていた.そこで,細分化されたトイレ動作の中から介助が必要であった一つの動作項目を病棟スタッフに確認し,どの程度の介助負担であれば心理的・身体的に負担が少ないか確認し動作手順を変更した.変更したことで,対象者の後方からの口答指示以上でトイレ動作が可能となった.また,病棟スタッフへトイレ動作介助の移行を行った数日後には,他の病棟スタッフへの移行提案が生まれ,最終的に病棟生活への般化に繋がった.
  • -呼名に対する振り向き行動への介入-
    川村 立
    2023 年 10 巻 p. 9-13
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    無発語自閉スペクトラム症児を経験した.A児は,共同注意や指差し等の前言語伝達行動が獲得されていなかった.また,自己刺激行動が顕著であり,言語聴覚士の指示に反応することは無かった.自己刺激行動を抑制すると癇癪に繋がってしまい,壁に向かって頭を打ち付ける等の危険行動が観察された.そこで,2歳7か月の時点から応用行動分析学に基づく介入を導入した.初回評価時の新版K式発達検査の結果,言語-社会の発達指数は29,発達年齢は276日であった.初期の介入(5セッション,週1回,30‐40分)では,逆模倣を行った.結果,A児がSTに対して注視する時間が増加し,アイコンタクトが可能となった.次いで,呼名刺激に対する振り向き行動の定着を目的とした介入を行った(8セッション,2週1回,15‐20分).介入前,呼名による振り向き行動の出現率は0%であった.シャボン玉を用いることで言語聴覚士の呼名に対する反応性が改善したことから,シャボン玉を呼名に対提示して振り向き行動を出現させた.その後,呼名による振り向き行動の出現回数を測定した.その結果,7・8セッションでは,シャボン玉を用いない条件で振り向き行動の出現率は80%に到達した.4歳7か月時点の再評価では,言語-社会の発達指数は74,発達年齢は1,248日であり,キャッチアップ傾向を認めた.自閉スペクトラム症児に対する応用行動分析学的介入の有効性が確認できた.
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