リハビリテイション心理学研究
Online ISSN : 2436-6234
Print ISSN : 0389-5599
原著
立位姿勢保持における身体動揺抑制意図の効果
松浦 由加子藤野 陽生井村 修
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2012 年 39 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

立位姿勢の保持は運動能力の向上だけでなく,心理的主体的活動とも関連している。立位姿勢への視覚系の影響を検討した研究は多いが,意図の効果を検討したものは少ないため,重心動揺への意図の効果を検討した。併せて,重心動揺の指標と主観的な身体意識の関連も検討した。参加者は,まず身体意識尺度に回答し,重心動揺を測定され,重心動揺制御方略を回答した。その結果,視覚情報は姿勢の安定に寄与したが,意図的な姿勢制御は困難であった。しかし,もとの動揺の大きい者は意図的に動揺を制御することに成功していた。また,身体感覚意識のうち「立位・歩行の身体意識」,「身体感覚への意識」は姿勢の安定に寄与していた。以上より,立位姿勢を安定させることが難しい者に,いかに身体軸や姿勢緊張感を意識させながら,タテ系動作課題を実施するかが重要であることが示唆された。

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