本研究の目的は,動作不自由のある知的障害の生徒への動作法による姿勢の改善と日常生活動作との関連を検討することであった。対象児は,高等部2年生に通う軽度の知的障害のある男子生徒であり,転びやすいなどの動作不自由があった。24回にわたる動作法によって肩周りの弛めや股関節周りの動き,踏みしめができるようになると,対象児の身体に対する気づきの変化が生じ,結果として立位姿勢の安定や踏みしめ域が増加するようになったことが足底圧分布測定システムからも明らかとなった。また,特別支援学校で実施されている作業学習においても,姿勢が安定することが示された。このことから,動作法が姿勢の安定だけでなく,さらに日常生活の動作の改善に有効であることが示された。本研究の結果は,知的障害の特別支援学校でも動作不自由のある生徒のための動作法の必要性を支持するものであった。