2021 年 47 巻 1 号 p. 1-15
本研究の目的は,動作法と認知制御の関係を明らかにすることであった。Dual Mechanism of Control Framework(Braver, 2012)に基づき,トップダウンの準備的な認知処理を示す順向性制御とボトムアップの即時的な認知処理を示す反応性制御の2つの認知制御戦略を,それぞれAX version Continuous Performance Task と修正ストループ課題を用いて測定した。28名の参加者が動作法を行う動作法群と能動的な比較対象として運動を行う運動群に無作為に割当てられ,動作法もしくは運動を行う前後で認知課題を遂行した。2つの認知課題は別日で実施した。結果,動作法群においてのみ,事前テストから事後テストにかけて,修正ストループ課題の不一致試行の誤答率が減少し,反応性制御の向上が確認された。また,動作法群・運動群の両群で,事前テストから事後テストにかけて,AX-CPTの反応潜時のBehavioral Shift Indexが増加し,順向性制御の向上が確認された。以上より,動作法における動作は反応性制御の駆動によって特徴づけられていた。