リハビリテイション心理学研究
Online ISSN : 2436-6234
Print ISSN : 0389-5599
事例研究
自閉症児の要求言語行動の形成に及ぼす動作法指導パッケージの効果
酒井 葵干川 隆
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2021 年 47 巻 1 号 p. 55-66

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抄録

本研究の目的は,自閉症児の要求言語行動の形成に及ぼす動作法指導パッケージの効果を検討することであった。対象児は,特別支援学校小学部1年生の自閉症女児であり,共同注意項目得点票(JA得点)では12ヶ月の注意の操作の段階であった。対象児は,動作法でのからだを通じたやりとり,情動的交流遊びとタブレットでの要求言語行動の形成,店員役と客役を演じる共同行為ルーティンから成る動作法指導パッケージを19セッション受けた。ベースライン期と評価期でのJA得点と被験者の対人相互作用の違いが比較され,進捗状況の変化として動作法とキャッチボールのアイコンタクトが増加し,要求言語行動の割合が増加し,ロールプレイでの正しい反応の割合の増加が示された。その結果,被験者は共同注意得点で15ヶ月のシンボルの形成の段階まで成長した。これらの結果は,動作法と共同注意の発達と要求言語行動の形成との関連から考察された。

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© 2021 本論文著者
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