2012 年 13 巻 2 号 p. 126-134
要旨: 【目的】失語のある子どもたちの復学に関与する要因を明らかにする.【方法】対象は小児期に脳損傷により失語を生じ, 復学に至った自験11例で, 復学先は普通学級6名, 特別支援学級1名, 特別支援学校4名であった. 復学時の言語機能, 身体障害, ADL, 失語以外の高次脳機能障害, 知能, 希望復学先, 復学後の在籍状況・問題点・支援内容を後方視的に抽出し, 復学との関連を検討した.【結果】普通学級復学例は, 特別支援学級・学校復学例と比べ, 言語機能が比較的良好で, 特に仮名1文字の能力が高く, 移動や ADL は自立し, 行動上の問題が少なかった. 希望復学先は普通学級が多かったが, 復学後の問題は普通学級復学例により多く生じた. 家族や学校への支援を継続的に行う必要があった.【結論】普通学級への復学の要因として, 言語能力, とりわけ仮名の読み書き能力がある程度備わり, 移動や ADL が自立し, 行動上の問題が少ないことが示唆された.