2012 年 13 巻 2 号 p. 135-140
要旨: 2005~6年に行政的に定義された高次脳機能障害者の在宅ケアのあり方に関する調査研究を行い, 生活版ジョブコーチ (以下, 生活版 JC とする) 支援の方法を開発した. その後2009年から3年かけて, 全国10か所の当事者団体等と連携し, 生活版 JC の養成を行った. 本稿は生活版 JC 養成に関する報告である. 養成は知識・技術を修得するための養成研修会と実践的な学びの場となる生活版 JC 派遣試行事業 (以下, 派遣試行事業とする) からなる. あわせて支援方策を考えるためのツールを開発した. 派遣試行事業に取り組んだ生活版 JC の16名にアンケートを実施したところ, 事業について肯定的な回答が大半を占めた. 業務の困難度は「支援項目の決定」が最も高く,「ケース紹介」,「モニタリング」,「関係機関との連携」は低かった. 考案したツールは支援項目の決定には有効とは言えなかった. 生活に変化を生み出す支援項目・目標の設定が一番重要かつ難しく, 課題として残った.