抄録
広島県西北部高冷地帯において昭和34・38・42・46年に水稲玄米に多くの斑点米が発生して, 著しく米質が低下し, 検査等級の低下, あるいは, 規格外等級となり, この地域の農家は多大の損害を受けた。したがって, その発生原因の究明と, 防除対策の確立は重要かつ緊急の問題となった。昭和39年度から聞取り調査やカメムシ類の掬取り調査, および実験を行ってきたけれども, その発生原因を解明することができなかった。昭和46年に至ってカメムシ類の掬取り調査, 斑点米発生状況の実態調査, カメムシ類の放飼試験等によって斑点米の発生原因は, カメムシ類に起因することがほぼ明らかになったのでその概要を報告する。なお, カメムシ類の調査に当っては広島農試病害虫部の援助をうけ, カメムシ類の同定は農業技術研究所の長谷川仁氏による。