作物学研究集録
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籾がら利用による水稲の箱育苗について
木下 収小倉 龍一大旗 英治
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1977 年 19 巻 p. 15-18

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抄録
我国の主要農作物である稲の副産物としての籾がらは、全乾物重量中約9.2%を占め、10a当り生産量は約120kgである。従来は個々の農家で個別に脱穀・調整がなされていたため、その利用方法も多岐に渡り、余り問題にされていなかった。しかし、近年各県ともにライスセンター、カントリーエレベーターの建設に伴ない、生産籾の集中管理がなされ、しかも1日当り処理量が多く、容積比で40〜50%の籾摺歩合を示す籾がらの処理が問題となり、くん炭製造、焼灰、売却等の方法のみでは処理出来ず、廃棄する割合も高まると共に、取除きのため一時センターの稼動をストップしなければならない場合さえ生じている現状であると聞いている。一方、水稲の機械移植栽培の普及は年々増加し、昭和50年には我国作付面積の61.3%にも及び、しかも増加する傾向にある。それ故、箱育苗用の床土の必要量は稚苗育苗でさえha当り約1tを要する上に、各町村に共同育苗施設が開設され、一度に多量の床土を準備する必要にせまられ、その採取は年々困難となり、床土を購入して利用する施設や農家が増加しつつある。かゝる現状と副産物の完全利用の見地から籾がらの効果的利用の一端として、箱育苗に利用する方法も考えられて来つつあるが、著者等も殺菌籾がら、くん炭培地による箱育苗について現地と並行して実験を行っているので報告する。
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© 1977 日本作物学会中国支部
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