本研究は、老人福祉施設に通所する高齢者の音声を、実験音声学的方法によって分析することにより、高齢化に伴う様々な声の変化や特徴の一端を模索したものである。音圧、ピッチ、持続時間長、SPG (Sound Spectrogram) の評価を中核とする分析結果から、高齢者音声の特徴が示唆された。特に今回の観察の範囲では、高齢者音声が「弱々しく、不安定な音声」になる原因は (1) 音圧の低下、(2) ピッチの不安定さであることが明らかになった。またその改善策として、(1) 声門へ送る呼気流の量を増大させる、(2) 声帯振動を安定させる朗読指導現場でのトレーニングの有用性が示唆された。