2020 年 12 巻 p. 15-38
本稿は、同一の機能であれば、語彙や表現に関わらず韻律的特徴に共通点があると主張したものである。資料は、まず、日本語初級学習者に「大学場面で必要と感じる機能に関するアンケート」を行った結果、必要性が高いと回答された 20 機能(依頼、呼びかけ、感謝等)を抽出した。次に、各機能3 パターンの発話を日本語母語話者7 名がロールプレイをしたものを録音した。最後に、各機能に相応しいと評価された上位3 名分の資料の韻律(1 音節当たりの持続時間長、Fo、音圧)を音響音声学的に解析した。その結果、13 機能で各機能に特有の韻律的特徴が見られたと述べている。