2021 年 13 巻 p. 19-31
言語には音声だけでなく、手話や指文字など動きを用いるものがある。今回の実験では文字・音声・指文字を対象としたオドボール課題を実施しP300の潜時について分析を行った。音声の時間長や文字数が認知に与える影響を調査するため音声は2モーラ語と5モーラ語、動作の影響を調査するため指文字では清音と濁音を利用し認知タイミングの特徴をボトムアップ式に探索した。その結果、文字では文字数にかかわらず提示したタイミングから約300ms後にP300が確認できたが、音声と指文字では音や動作などの変化点から約300ms後にP300が確認できた。そのため手話研究では提示のタイミングと変化点を考慮し、注意深く分析する必要があるといえる。