本研究では、競技かるたの詠みにおける母音のフォルマント周波数の特徴を捉えることを目的としている。小倉百人一首の初句における全ての母音を計測対象とし、専任読手を被調査者として音響音声学的に解析した結果、通常発話に比べて競技かるたの詠みでは第1 フォルマントが散布図の中央に収束することが確認できた。また初句の句頭と2 字目以降では、2 字目以降において、より第1 フォルマントが散布図の中央に収束することが確認できた。本研究における競技かるたの詠みでは、通常発話に比べてフォルマント周波数が中央化しているが、第2 フォルマントに比べて第1 および第3 フォルマントの方がより値が収束していることが明らかになった。