2012 年 4 巻 p. 22-36
本研究は、韻文リズムについて、埼玉・東京方言などを中心とする青年層の日本語母語話者における俳句形式の韻文の音読資料を考察したものである。話しことばの言語リズムと韻文の言語リズムを区別した上で、ポーズに焦点を当てた分析を行った。ポーズ消失の出現傾向や韻律フレームの有用性の検証をした結果、ポーズの消失は、中七が3 モーラ-4 モーラ構造の場合において出現の可能性が最大になる、韻律フレームは、第1 フレームと第2 フレームにおいて負の相関関係を示す傾向にあるということが明らかとなった。また、中七後のポーズの消失がみられる例は、散布図上で逸脱した分布を示す傾向にあることも示唆された。