2017 年 9 巻 p. 109-130
日本語学習者が話速をどのように調節し、その速度感がどのように聞かれるのかについて、音声の音響実験と聴取実験を行った。
音響実験では学習者に短い文章を3 種類の話速で読ませたものを、母語話者にも同じように読ませた音声と比較した。その結果、学習者音声は話速を変化させることができたものの、全体的に母語話者音声よりも遅く、ポーズを挿入する位置の規範意識が弱いことが観察された。
聴取実験では学習者音声を母語話者が聞き、速度感の判断をした。学習者音声は母語話者よりも速く聞こえる傾向が見られたが、速い音声では発話部分が、遅い音声ではポーズ部分が判断材料としてより有効に働く点は、母語話者音声と共通していた。