実験音声学・言語学研究
Online ISSN : 1883-6763
9 巻
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特集論文
  • アナログからデジタルへ、音響音声学から聴覚音声学へ
    島田 武
    原稿種別: その他
    2017 年 9 巻 p. 1-2
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー
  • 福盛 貴弘
    原稿種別: その他
    2017 年 9 巻 p. 3-9
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー
  • 福盛 貴弘
    原稿種別: その他
    2017 年 9 巻 p. 10-14
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー
  • 言語聴覚士をめざす人たちのために
    城生 佰太郎
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 15-25
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、構音障害の診断と治療で活躍する言語聴覚士 (speechtherapist=ST)にとって、音声学的知見がどのように有用であるのかを、具体的な症例に即して示すことである。方法としては、およそ2 ヵ月後に小学校入学予定の男児をとりあげ、観察される構音障害の例示と、これに対する診断および治療の方略などについてIPA を併用して詳細に述べた。

    結論として、特に機能的構音障害においては、同一の音であっても条件が異なると発症にばらつきが生じるなど細かい変異が見られることが多いので、何よりもまず綿密な観察と、ある程度の段階まではボトムアップによる帰納的な方法が不可欠であることを主張した。

  • 池田 潤
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 27-34
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    池田ほか (2015) では、ヘブライ文字の場合、N170 P250 の電位差が母音記号の有無という物理量、およびユニット数という認知量を反映するのではないかという解釈を提示しているが、これに対して別の解釈を提示するのが本稿の目的である。この実験で用いた視覚刺激は、1 ユニット母音記号なし(1U)、1 ユニット母音記号あり(1UP)、2 ユニット母音記号なし(2U)、2 ユニット母音記号あり(2UP)の4 種類に分類されるが、このうち言語的にも視覚的にも異なり、両方の処理が重畳する2UP を除いて比較してみると、前者ではN170 のピーク電圧に、後者ではP250 のピーク電圧に明瞭な違いが認められ、N170 は視覚処理、P250 は前語彙的な言語処理に関連しているという新たな解釈が可能となる。

  • 岐阜県郡上方言と茨城県北茨城方言とを対象として
    宇都木 昭
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 35-45
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,鼻濁音(鼻音として現れるガ行子音)にいかなる音声的変異があるかを調べた予備的研究である。先行研究において鼻濁音が存在するとされている岐阜県郡上方言と茨城県北茨城方言を対象とし,録音したデータに含まれるガ行子音に対しスペクトログラムの目視により分析を行った。その結果,典型的な鼻濁音である軟口蓋鼻音のほかに,鼻音化した軟口蓋接近音とおぼしき変異形が観察された。後者はスペクトログラム上で,鼻音に特有のフォルマントの減衰が観察されないという特徴がある。このような変異形の出現様相に地域差等の要因が関わるかについては,データの不足により考察が困難であり,今後の課題である

  • 桐越 舞
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 47-54
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本稿は、東京都の百貨店に勤める従業員の接客時の音声に関して、その分析方法の模索として発話時間長・ポーズ・発話速度による分析を行うものである。同一の被験者のエレベーター運転時の発話と店内放送時の発話を比べたところ、エレベーター運転での発話は、制限された時間内に収めつつ聞きやすい発話がされ、店内放送での発話は、発話と後続するポーズが似たような時間長で現れ、一定のリズムで店内の邪魔にならないような発話が行われている。また、発話速度に関しては、店内放送はエレベーター運転よりも遅い傾向にあるが、より遅く聞こえるような工夫がされていることが明らかとなった

  • 島田 武
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 55-63
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本研究では、北海道道南方言の入りわたり鼻音に先行される子音[mb][nd][ŋg]の生起について調査を行った。先行研究によると、これらは道南方言を特徴付けるものだが、衰退している特徴であるとも言及される。このことを確認するために、老年世代の3 名の調査協力者の音声を録音し、入りわたり鼻音を探索した。その結果、3 種すべての実例が確認できた。また同一環境において入りわたり鼻音が無い例も観察され、さらに生起頻度も後者の方が大きかった。一方、今回の調査では、魚種名に見られる入りわたり鼻音は必ず発音されており、特定の表現においては未だ確固たる存在であることが示された。

  • 機能別・韻律の指標作成を目指して
    高村 めぐみ
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 65-73
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,表層的に異なる語彙・表現を発話しても,同一機能であれば韻律的特徴には共通点があることを示すための一連の研究の序章にあたる部分である。最終的には「機能別・韻律の指標」を作成し,日本語教育での初級学習者に対する音声指導に寄与貢献することを目指すが,まずはその第一歩として,本研究では,大学場面で初級日本語学習者がどのような機能を必要としているのかを明らかにするためにアンケート調査を行った。その結果,①相手に何らかのアクションを要求する機能,②自分の気持ちを伝える機能,③人間関係を円滑に進めるためのコミュニケーション機能,を主に必要としていることが示唆された。

  • ボトムアップ型の言語記述を目指して
    永井 正勝
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 75-90
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    新エジプト語の神官文字写本「パピルス・アボット」(BM10221)を対象に、完了sḏm=f形の動詞に付加される表記形式の分析を行った。その結果、強動詞には接尾表記.wが現れる動詞(ḏd, pḥ, sẖ⫖)と現れない動詞(rḫ, ỉṯ⫖, sḏm, sỉp, wḥm)があること、弱動詞には接尾表記.yが現れる動詞(⫖wỉ, th)と現れない動詞(gmỉ, ỉn)があること、不規則動詞には接尾表記.wが現れる強動詞タイプの動詞(rdỉ)と、接尾表記.y/.wy/.wyが現れる弱動詞タイプの動詞(ỉrỉ)があることが判明した。従来、強動詞、弱動詞、不規則動詞はそれぞれ1つの動詞クラスとして認定されていたが、それぞれのクラス内での細区分が可能であることが示唆された。

  • 福盛 貴弘, 白井 優香
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 91-107
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、高校野球の場内アナウンスにおける音声の特徴を記述することである。被調査者は、現役で場内アナウンスをしている女性である。結果として、以下の特徴が観察された。(1)区切れは文節を基準とし、文節頭で句頭の上昇調が見られる例が多数である。また、句頭の上昇調は通常の発話より変化の度合いが大きい。(2)発話中のポーズは平均435.6ms であり、発話全体の20.2%を占める。(3)発話速度は、通常の発話に比べて球場アナウンスの方が遅い。

  • 丸島 歩
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 109-130
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    日本語学習者が話速をどのように調節し、その速度感がどのように聞かれるのかについて、音声の音響実験と聴取実験を行った。

    音響実験では学習者に短い文章を3 種類の話速で読ませたものを、母語話者にも同じように読ませた音声と比較した。その結果、学習者音声は話速を変化させることができたものの、全体的に母語話者音声よりも遅く、ポーズを挿入する位置の規範意識が弱いことが観察された。

    聴取実験では学習者音声を母語話者が聞き、速度感の判断をした。学習者音声は母語話者よりも速く聞こえる傾向が見られたが、速い音声では発話部分が、遅い音声ではポーズ部分が判断材料としてより有効に働く点は、母語話者音声と共通していた。

  • 三浦 弘
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 131-138
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    音声学のフィールドワークには3 つの過程がある。(1)どのようにして適切な被験者を見つけ出し、最適な音声を録音するか、(2)収録した音声の分析(特に音響的分析)と図表の作成、(3)分析結果からの音声・音韻の考察である。本稿は(1)にテーマを絞った実地踏査のための方法論である。(2)と(3)には多数の参考文献があるが、(1)については資料が少ないからである。最も大切なことは現地の研究協力者を確保することだと言える。大学や研究所に協力を依頼すると理解が得られやすく、録音施設までも借りられることがあるので、高音質な録音ができる。しかし、被験者が学生や大学関係者だけになってしまうことが多く、基層方言(basilect,労働者階級の地域方言)はなかなか収録できない。そこで公的機関等へ協力を依頼することになるが、現地にコーディネーターとしての協力者がいるとスムーズに交渉が進む。まだ模索中ではあるが、ようやく形成されてきた(1)の方法について自らの試行錯誤を報告する

講演論文
  • 歌わない都都逸の韻律節
    福盛 貴弘
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 139-154
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    本稿は、2016 年9 月2 日に室蘭工業大学で行われた日本実験言語学会第 9 回大会での公開講演「上方落語と都都逸と音声学」をもとにして執筆したものである。当日は、『刻うどん』に出てくる都都逸を紹介しながら、その役割と音声特徴について講じている。

    『刻うどん』では、作中に出てくる「歌わない都都逸」が、登場人物であるかしこの清八とすかたんの喜六の性格を紹介する構成になっている。また、歌わない都都逸は前半の七七と後半の七五をそれぞれ中韻律節として一まとまりにし、中韻律節を繰り返すように発していることが明らかになった。

論文
  • 実験音声学的アプローチ
    シリンゴワ
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 9 巻 p. 155-183
    発行日: 2017/03/24
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    筆者の母語であるモンゴル語スヌト方言は、他のモンゴル系諸方言と同様アクセントに音韻論的対立がない。このため、今日までアクセント研究はほとんど行われておらず、定説として「モンゴル語のアクセントは、常に語の第1音節に強さが置かれる」とされてきた。しかし、この説には多くの反例があるところから筆者はこの説に納得できず、実験音声学的方法を用いてスヌト方言を精査したところ、(1)音節数、(2)音節の種類、(3)音節構造の3点から、従来説に対する修正案を提出することができた。

    また、いわば副産物として、非示差的特徴を有する音声を研究することによって、言語研究全体にとっても裨益する事例があることを主張した。

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