実験音声学・言語学研究
Online ISSN : 1883-6763
特集論文
北海道道南方言における入りわたり鼻音に先行される子音について
島田 武
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2017 年 9 巻 p. 55-63

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抄録

本研究では、北海道道南方言の入りわたり鼻音に先行される子音[mb][nd][ŋg]の生起について調査を行った。先行研究によると、これらは道南方言を特徴付けるものだが、衰退している特徴であるとも言及される。このことを確認するために、老年世代の3 名の調査協力者の音声を録音し、入りわたり鼻音を探索した。その結果、3 種すべての実例が確認できた。また同一環境において入りわたり鼻音が無い例も観察され、さらに生起頻度も後者の方が大きかった。一方、今回の調査では、魚種名に見られる入りわたり鼻音は必ず発音されており、特定の表現においては未だ確固たる存在であることが示された。

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