本稿は、東京都の百貨店に勤める従業員の接客時の音声に関して、その分析方法の模索として発話時間長・ポーズ・発話速度による分析を行うものである。同一の被験者のエレベーター運転時の発話と店内放送時の発話を比べたところ、エレベーター運転での発話は、制限された時間内に収めつつ聞きやすい発話がされ、店内放送での発話は、発話と後続するポーズが似たような時間長で現れ、一定のリズムで店内の邪魔にならないような発話が行われている。また、発話速度に関しては、店内放送はエレベーター運転よりも遅い傾向にあるが、より遅く聞こえるような工夫がされていることが明らかとなった。