本研究は、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故後の福島県における農業の現状を分析するものである。福島県では、地震・津波被害からの農業復興に向けて、除塩や農業基盤の復旧などが行われており、放射能被害からの農業復興に向けて、米の全量全袋検査、除染、風評被害対策などが行われている。こうした復興施策に加えて、例えば、相馬市では、津波被害からの復興に向けた転炉スラグの活用による除塩、二本松市東和地区や伊達市小国地区では、詳細な農地土壌汚染マップの作成などが行われている。今後、農業の復興に向けて、これまで以上に住民、行政、事業者、研究者などが一体となった体制を構築し、実践・研究活動を進めていく必要がある。