2016 年 14 巻 4 号 p. 247-250
本稿では消費者余剰に相当する時空間アクセシビリティ指標の一種を提案し、その応用と計算についても検討する。まず、これまでにも提案された消費者余剰に相当する時空間アクセシビリティ指標について再検討し、代替的な指標を提案する。次に、ここで提案する指標は既存のものとは異なり、一般的な空間的相互作用に関するモデル・理論と整合することを示す。また、提案される指標は、例えば、施設移転のような事業が考えられているとき、それがある一個人にとって望ましいかどうかを判断するだけでなく、地域全体という観点から望ましいかどうかを判断するのに用いうることを示唆する。そして、そのときに求められる計算は、現実的な計算時間で実行可能と考えられることを示す。