2016 年 14 巻 4 号 p. 276-280
滋賀県では,これまでのハザードマップよりも実像に近い予測を行っている「地先の安全度マップ」という形で水害リスクを広く一般に公開した.キャピタリゼーション仮説によると,災害などのリスクなどはすべて土地の地価に影響を与えていると考えられるが,水害リスクについてその実態を把握した分析は見られない.そこで本稿では,居住者のリスク認知を地価,土地そのものの持っているリスクを「地先の安全度マップ」に置き換えて,両者の関係性を確認した.その結果,本稿で対象とした期間においては水害リスクが地価に反映されておらず,居住者が認知している水害リスクと土地そのものの持っているリスクには齟齬がある可能性が示唆された.