2017 年 15 巻 4 号 p. 232-238
本研究では、福島県内の全てのサ高住を事例に、事業者に対するアンケート調査の結果に基づき、特に、入居率との比較を行うことを通じて、地域包括ケアの構築という観点からのサ高住の実態を明らかにする。サ高住は、日常生活圏域で多様なサービスを受けながら、住み慣れた地域で暮らし続けることが可能な地域包括ケアシステムの「住まい」としての位置づけにもかかわらず、登録基準に「立地」に関するものがないため、事業者が建てられるところに建ってしまっており、公共交通サービスや介護・医療サービスなど享受可能性が低いものについては入居率が低い状況にある。今後は、市町村ごとにサ高住の計画的な立地の誘導を図ること、また、サ高住の事業者と介護・医療の事業者などの連携の基盤となるプラットフォームを構築することが必要である。