本研究では,福岡県の博多・中洲地区と天神周辺地区を事例に,防犯カメラの効果検証を行った.両地区におけるカメラ設置前後の一年間において,粗暴犯,ひったくり,自転車盗,車両関連犯罪の地理的分布を分析した結果,博多・中洲地区の窃盗犯系の罪種において効果が認められた.またその時,犯罪の地理的転移は見られないか,若干であった.両地区では,設置前一年間の犯罪とカメラの設置位置の地理的一致の度合いが異なっていた.博多・中洲地区では効率的なカメラ設置がなされていた一方で,天神周辺地区のカメラ設置位置は従前の犯罪分布とはあまり一致していなかった.このことから,事前に地区の犯罪情勢の分析を行ったうえでカメラ配置に反映させることが重要と考えられた.