2017 年 16 巻 2 号 p. 166-169
調査した107の全空家の植物が街路より視認可能で,その大半はボリュームのある木本であることから,一定の緑量を提供しているという意味で,空家植物は街路景観の形成に寄与していると考えられる。さらに,空家と植物の関係には,日本庭園との共通点が認められる。あるものをあるがままに活かす日本庭園の作法にならい,空家植物を街路景観の形成に活かすことが可能である。ただし,空家植物に対する人の印象は肯定的と限らない。空家植物の質の評価や,適切な剪定・管理の方法,さらには,地域における共同管理のルールや仕組みに関して,更なる研究が必要である。