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川口市空き家実態調査の分析
鈴木 雅智, 樋野 公宏
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
103-107
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究では、東京大都市圏の都市部において、条件有利にも関わらず長期間空き家となっている住宅の存在を検証し、その理由を分析した。基本的には、住宅ストック全体に比べ相対的に条件不利な物件が空き家となっている。ただし、中には、条件有利な長期空き家が多数存在する。建設当初から居住していた所有者が退去したり、親・親族から空き家を相続した場合に、将来に再度活用したり市場で処分したりする可能性を持ちつつも、現時点では決断が難しいために暫定的に空き家のまま保有を続ける事情となっている。
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川口市空き家実態調査の分析
馬場 弘樹, 樋野 公宏
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
108-111
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は,空き家の管理不全度合いがどの様な建物・所有者特性によって規定されているのかを明らかにし,対象地である川口市各地区の管理不全空き家の割合と建物・所有者特性の傾向差を比較することを目的とした.データは川口市空き家実態調査から空き家の管理不全度合いを数値化し,クロス集計分析を行った.結果,以下の点が明らかになった.第一に,空き家の管理不全割合と建物・所有者特性との相関が見られた.第二に,空き家の管理不全割合は地区ごとで差異が見られた.幾らかの地区では市全体の結果と逆行するような建物・所有者特性の傾向が見られ,今後,各地区の特性と管理不全空き家との関係性について理解を深める必要がある.
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西 颯人, 樋野 公宏
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
112-115
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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この研究は,深層学習(ディープラーニング)を用いた国内における犯罪発生予測の試みである.近年様々な公的データがオープンデータとして公開されている.これらを用いれば,大量のデータを必要とする深層学習を自由に試すことが可能である.犯罪被害の位置はランダムでなく空間的な集積を持っているため,回帰と分類という2種の問題として,自己相関から犯罪発生予測を試みた.その結果,回帰問題としては自由度調整済み決定係数が0.82に到達し,分類問題としては犯罪発生の確率を得ることができた.
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植田 直樹, 瀬島 由実加, 村上 暁信
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
116-123
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は、今後の民有地緑化のあり方を考察するために、緑化誘導の条例等に採用されている定量的な誘導基準を分類し検討することを目的としたものである。調査の結果、都道府県の27.7%、政令指定都市の75%が定量的緑化誘導基準を保有しており、その多くが工場立地法の影響を、残りが景観法や地球温暖化対策の影響を受けて制定されていた。緑化率の分母は敷地面積もしくは空地面積の2タイプがあり、緑化率の計算式も緑被もしくは緑視を基礎とした2タイプが存在することが分かった。さらに配置に関する規定や建築物上の緑化に関する規定などが存在し、全体を分類の結果、定量的緑化誘導基準は6つの規定から構成されることが確認できた。この研究により、今後はこの6つの規定をコントロールすることで新たな制度設計が可能になる。
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論点・裁判例の整理と新聞記事分析
千葉 尚路, 樋野 公宏
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
124-128
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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防犯カメラが、店舗や駅や施設等の都市空間に溢れている。政府及び警察は、防犯カメラの設置と利用促進を積極的に推し進める立場である。本研究は、都市空間内の防犯カメラに対し、これまで社会一般(世論)がこの問題に関してどのように反応してきたのか、それは時代とともに変化しているのか、変化しているとすればその要因は何かという各点を、抑制論からの主張や論点、裁判例の整理、新聞記事の分析から明らかにすることを目的とする。その上で、プライバシーと調和する都市空間の防犯カメラ設置に向けた提言を行う。
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新潟県長岡市と新潟市での事例分析
池田 真太郎, 樋口 秀, 中出 文平, 松川 寿也
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
129-134
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は、地方都市を対象に現在の高齢者単独世帯に対する孤独死発生実態を把握するとともに、居住状況や住宅立地といった都市計画の観点から、孤独死の発生リスクとその傾向について検討し、集約居住の問題点や超高齢化社会における居住の在り方を提言することを目的とする。本研究では、孤独死の実態調査及び国勢調査、死亡データを利用し、それらから導き出される孤独死と居住の関係性を解明した。その結果、地方都市でも、大都市と類似する孤独死の傾向が確認されるとともに、アパートやマンションといった共同住宅に居住する前期高齢者男性の孤独死リスクが高いことが確認された。今後まちなか居住を促進する際には孤独死問題への配慮が必要といえる。
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益子 慎太郎, 樋口 秀, 中出 文平, 松川 寿也
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
135-140
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は、固定資産税収の過去の推移から将来の税収を予測するとともに、地方都市の税収確保に向けた市街地集約化のあり方を検討することを目的とする。まず、長岡、松本、沼津、高知の4市を対象に、2015年までの9年間の固定資産税収の変化を地区別に分析した。その結果、郊外部での宅地面積・木造住宅床面積の増加が著しく、市全体で宅地評価額が大幅に下落しており、この傾向が継続すると2030年の固定資産税収は大きく減収することが予測された。一方、これまで郊外部で9年間に増加した木造住宅による開発を都市中心部の非木造建築物に誘導した場合、固定資産税収の下落を押さえる効果が確認された。中心部での開発誘導は、地区の宅地評価額の低下を防ぐとともに、非木造建築物による税収増加にもつながるため、固定資産税収確保に有効である。
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立地適性化計画の居住誘導区域と鉄道機能の関係に着目して
大工原 健太, 村木 美貴, 須永 大介
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
141-146
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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東京圏郊外部では、今後の人口減少と生産年齢人口の減少に伴う通勤者の減少により、鉄道利用者が減少し、結果として、鉄道サービスの低下につながることが懸念されている。しかし、持続可能な市街地形成の実現に向けて、鉄道機能を維持することが必要である。そこで本研究は、持続可能な市街地形成に向けて、鉄道機能と連動した居住誘導区域のあり方を明らかにすることを目的とする。まず、駅勢圏の範囲と駅勢圏の目標人口を検討し、鉄道機能の持続性確保に向けた居住誘導区域の設定範囲を明らかにする。結果として、鉄道機能の持続性確保に向けては、多くの人口を駅勢圏内へ居住誘導する必要があり、居住誘導区域の設定範囲をより小さく設定する必要があることが明らかとなった。
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関向 直志, 村木 美貴
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
147-150
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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東日本大震災以降、環境性、防災性を両立しうる持続可能なエネルギーシステムの構築が必要とされてい。これに対し、コージェネを用いた面的エネルギーシステムは、廃熱を有効利用できCO2排出量削減が可能であることや、系統電力の停止時に熱電の供給が可能であることから、持続可能なエネルギーシステムと考えられている。ところで国は2014 年に都市再生特別措置法の改正を行い、立地適正化計画の策定を推奨している。これを受け地方自治体は都市機能誘導区域を定めることが可能となり、都心や郊外拠点への都市機能集約が求められている。これより、従来は十分なエネルギー需要を確保できなかった郊外拠点においても、エネルギー需要の高い街区形成が期待され、面エネの導入ポテンシャルが高まる可能性がある。
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入江 春乃, 吉川 徹
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
151-157
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は、利用客の「買い物行動中の経路」や「立ち寄り店舗数」などの行動分析にもとづいて、見通しの善し悪しの観点から、快適なショッピングセンターの空間的特徴を明らかにすることを目的とする。このため、2施設において、19名の調査員が、実際に内部で模擬的な買い物行動を行った。その結果は下記を示唆している。見通しの良さが必ずしも探しやすさにつながるわけではない。しかし見通しの善し悪しは店舗の選択に影響を及ぼしており、見通しが良い店舗が全店舗数における比率を超えて選択されやすい。
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根田 克彦
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
158-165
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究では,オリンピックパークが建設されたイーストロンドンの都市再生と,ロンドンオリンピックのレガシー計画との関係を検討する.1990年代に,UK政府はドックランズの再開発の後におけるイーストロンドンの都市再生プロジェクトを継続した.しかし,それらのプロジェクトは断片的で遅々として進まなかった.2000年に選挙で選ばれたロンドン市長は,イーストロンドンにおけるストラトフォードにオリンピックパークを建設することを主張した.さらに,ロンドンは立候補ファイルを申請する前に,オリンピックパークのための土地を取得し,計画同意を与えた.ロンドンは,オリンピックの再生計画を再生のプロセスに組み込み,オリンピックを再生の主要な触媒として効果的に利用できた.
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東近江市の主要道路沿いを対象として
脇阪 樹里, 村上 修一
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
166-169
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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調査した107の全空家の植物が街路より視認可能で,その大半はボリュームのある木本であることから,一定の緑量を提供しているという意味で,空家植物は街路景観の形成に寄与していると考えられる。さらに,空家と植物の関係には,日本庭園との共通点が認められる。あるものをあるがままに活かす日本庭園の作法にならい,空家植物を街路景観の形成に活かすことが可能である。ただし,空家植物に対する人の印象は肯定的と限らない。空家植物の質の評価や,適切な剪定・管理の方法,さらには,地域における共同管理のルールや仕組みに関して,更なる研究が必要である。
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非住宅ランドスケープの25作品を対象として
平場 美帆, 村上 修一
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
170-175
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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代表的なランドスケープ・アーキテクトの一人,ダン・カイリーの基本的な考えは,木の間を通り抜けることで空間の変化が感じられる森をつくることであった。また,そのデザインの特徴は,高木の幾何学配置であった。本報の目的は,25の非住宅作品を対象として,その意図がいかに実現されたのかを把握することである。1. 図面分析の結果,以下のことがわかった。高木の幾何学配置には,列状,格子状,囲みの3種類がある。2. 地面が舗装や芝生であるため,幾何学形に配置された木の間を通り抜けることが可能である。一方,植込の中にある木の間の通り抜けはできない。3. 様々な性質や形状の樹種が用いられており,特定の傾向は認められない。
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奈良市・近鉄大和西大寺駅周辺エリアの事例分析を通じて
三木 裕子, 村山 顕人, 真鍋 陸太郎
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
176-181
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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ネットワーク型都市構造を実現するには中心市街地のみならず複数拠点による役割分担が必要となる。本研究では、地方都市の副拠点の事例分析を通じて空間形成計画と実現手段の整理ならびに施策の達成状況を分析し、空間形成計画上の課題を提示することを目的とした。分析対象の都市空間は「基盤整備」「土地利用誘導」「交通環境・アーバンデザイン」の3段階で形成されており、実空間上の分析から、基盤整備と交通環境・アーバンデザインの連携欠如や土地利用計画と現状趨勢の乖離等が課題として導出された。副拠点は中心拠点に比べて制度的な支援がこれまで必ずしも十分ではなかったが、今後、自治体が立地適正化計画を策定し副拠点の空間形成に取り組む際には総合的な空間形成計画が重要な役割を果たし得ると示唆された。
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千葉市豊砂公園パークマネジメント事業を事例に
朴 炳昊, 飯田 晶子, 横張 真
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
182-187
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は都市公園における官民連携事業の公共性と収益性のバランスについて知見を得るため、千葉市の豊砂公園パークマネジメント事業を対象とし、調査研究を行った。当該事業は、千葉市とイオンモール株式会社(以下イオン)との協定により、イオンが豊砂公園の維持管理を行っている。収益施設が存在しない都市公園にもかかわらず、公的投資は行わず、イオンによるイベント収入で維持管理費用を賄っている。調査結果では、イオンは赤字を抱えており、公共性と収益性のバランスが取れているとは言い難い状況である。そのため、今後の官民連携による持続的な運営管理のためには、地元企業の広告宣伝イベントを許可していくなどの改善点が見られた。
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フランス・ストラスブール市を一例に
岩淵 泰
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
188-190
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本稿は、フランス・ストラスブール市を事例に都市開発における市民参加の制度化を紹介する。地区評議会、市民評議会、外国人議会、都市ワークショップ、プロジェクトワークショップなど様々な参加が含まれる。地方政府は、都市開発のプロセスをどのように修正するのかによって、市民参加のツールを作っている。つまり、議員や行政職員は、都市開発を円滑に進めるために、これらのツールを利用する。このようなプロセスが表していることは、地域民主主義は、都市をよりオープンに住みやすくするための、都市開発の重要な基盤であるということだ。
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高島平団地を対象に
濱田 貴之, 樋野 公宏, 薄井 宏行
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
191-193
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究では、大規模集合住宅に居住する高齢者に対し、活動量計という客観的な身体活動の計測機器を用い、都市環境とソーシャル・キャピタルが身体活動に与える影響を調査した。都市環境の指標は、駅前のスーパーまでの距離と居住階という2つの指標を用いた。ソーシャル・キャピタルの指標は近所づきあいや地域活動等に関する11の指標を用いた。身体活動の指標は年齢・性別・測定月による補正歩数比、降雨日歩数比、介入前後歩数比という3つの歩数指標を用いた。分析の結果、50歳以上の人にとって、高層階かつ駅やスーパーまで遠い環境に住んでいると雨天時の歩数がより減少すること、一方、地域活動・ボランティア活動参加者は雨天時でも歩数の減少幅が小さいこと等が判明した。
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都市における生物多様性の観点から
北脇 優子, 飯田 晶子, 植田 直樹, 横張 真
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
194-199
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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生物多様性への社会的関心を背景に、都市には企業が生物多様性配慮に取組む緑地が増えている。同時にこのような取り組みを推進していくため、都市緑地の評価・認証システムが4つ開発されている。本研究ではこれらの4つの評価・認証システムを、都市の生物多様性の観点から比較し、各システムの特徴と課題点を明らかにした。この結果、SEGESとABINCの2つのシステムは、緑地空間の量と質(設え方)だけでなく、都市住民への啓発が配慮されていた。一方、他の二つのシステムであるTEAMとJHEPでは、量と質(設え方)のみが考慮されていた。都市緑地には、都市住民が生物多様性の重要性に関する意識を高める役割があるため、評価・認証システムには啓発も考慮することが望ましい。
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山村 俊貴, 樋野 公宏, 上杉 昌也, 雨宮 護
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
200-203
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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前兆事案が発生しやすい場所を特定しようとする研究は複数見受けられるが、他の犯罪を分析対象とした既往研究で指摘されている、地区によってその発生に関係する要因の効果が変化する可能性や、街路ネットワークの構造がその発生に影響を与える可能性まで考慮して行われたものはない。本研究では、東京都区部で発生した前兆事案を対象としてマルチレベル分析を行うことで、地区レベルの要因を考慮した上でもなお前兆事案の発生に関係する街路レベルの要因を探ると同時に、UNAという手法を用いた変数を設定することで街路ネットワークの構造との関係性も明らかにした。具体的には、街路からの最寄りの小学校や鉄道駅までの距離や、沿道に公園・緑地等があるか否かといった点、複数の街路ネットワーク指標等と有意に関係していることが分かった。
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整備計画と整備事業の関係性に着目して
新妻 直人, 黒瀬 武史, 矢吹 剣一
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
204-210
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、デトロイトにおけるグリーンインフラストラクチャー(GI)をめぐる諸計画と慈善財団の支援活動の関係性に着目する。GIが集中的に整備されている地区としては、深刻な越流問題に対処するために高レベルの貯水機能を持ったGIが複数整備されている地区と、空き地の有効活用という観点から広い敷地を利用して実験的なGIが整備されている地区が見られた。慈善財団は、既にGIの整備計画が存在する地区で重点的に整備支援活動を行っており、地区スケールの計画が財団の活動に影響を及ぼし、地区の状況によって支援形態も変えていることが判明した。また、具体的な整備計画が存在しない地区では、自主的な整備を支援する取り組みがあることが分かった。
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栃木県宇都宮市を事例として
島村 亮, 佐藤 栄治, 鹿野 桃佳
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
211-213
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
フリー
日本の多くの地方都市では市街地の拡大と郊外化により,都市機能の分散が起きている.その解決策としてコンパクトシティ政策が推進され,都市の拠点化が図られているが具体性に乏しい.今後の施策では,過去の都市の誘導と形成過程の把握によるエヴィデンスの明示が求められる.今後の施策では,過去の都市の誘導と形成過程の把握によるエヴィデンスの明示が求められる.そこで本稿では,過去に建設された建築の実態を示すものとして,建物の不動産登記情報に着目した.分析の指標として戸建住宅に着目し,郊外化の実態や建築ストックの分布について定量的に分析した.これらの分析結果と社会背景との関連を考察し,今後の施策へつながる地域特性について考察した.
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奈須 朝也, 佐藤 嘉洋, 円山 琢也
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
214-218
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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将来的なコンパクトシティへ向けた施策を考える際,助成金を伴った居住誘導施策は選択肢の一つとなり得ることが考えられる.本研究ではこの施策の効果を検証することを目的とし,熊本市で表明選好調査を実施した.調査結果より,コンパクトシティの重要性を説明した場合は出しても良いと考える助成金が増加する傾向にあることが明らかとなった.また,助成金を考慮した住み替え意向に関する二項ロジットモデルを構築し,賃貸住宅の家賃と助成金の価格弾力性に差はないことが明らかとなった.
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野中 勝利
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
219-226
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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弘前市は1894年に政府から弘前城址を借りて弘前公園を開設した。旧藩主の津軽家がこれを管理した。本稿ではその後の弘前公園の所有と管理の変遷を明らかにし、その背景を考察した。1896年に弘前市近郊への師団設置が決まり、津軽家はその土地の一部と城址の交換を申請したが、許可されなかった。津軽家は城址の取得を希望していた。1898年に弘前公園の一部が再び陸軍省の所轄地となり、1902年に津軽家は公園の管理を辞退した。津軽家は城址取得が困難と判断し、城址との関係を絶った。その後は弘前市が公園を管理し、1906年に公園用地の購入を出願し、認められた。その背景の一つは、藩祖の銅像建立の用地確保があった。
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野中 勝利
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
227-234
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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1894年に弘前市は弘前城址に弘前公園を開設した。本稿では、1908年の皇太子の行啓と1915年の天皇の行幸を機会として特に進められた公園整備の内容を明らかにした。行啓の前に、城門と橋の修繕や色の塗り替えがされた。また地均し、芝生や休憩所の整備があった。しかし崩落していた石垣はそのままだった。行幸の際には全面的な公園整備が進んだ。特に石垣の積み直しと天守閣の元の位置への移転に多くの費用が費やされた。このほか濠の浚渫、城門や城郭建築の修繕、道路や排水溝の整備、木柵や生垣などの設置が進められた。ただし従来の城址が有していた雅趣の欠乏を指摘する意見もあった。
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東京都板橋区高島平団地を対象としたケーススタディ
飯塚 裕介
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
235-239
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究では、高島平団地に住む人々のライフスタイルがどのように変化したかを理解することを目的としている。このため、住宅団地における非住居系施設の数や分布の変化を地域情報誌「高島平べんり帳」に掲載された施設リストを元に調査した。その結果、業種別にみると、小売店やサービス業の施設が減少し、医療・健康関連施設が増加傾向にあった。小売店の減少は特に飲食店の減少による部分が大きく、医療・健康関連施設の増加は鍼灸施設の施設の増加による部分が大きいことが分かった。また,空間分布の分析からは団地中心部である高島平駅から離れた地域では食料品店が減少し、飲食店や医療・健康関連施設が増加しており,食料品店から飲食店や医療・健康関連施設への用途転用が進んでいることが分かった。
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渡辺 雄太, 雨宮 護, 新保 奈穂美
原稿種別: 研究論文
2017 年 16 巻 2 号 p.
240-246
発行日: 2017/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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近年日本国内の国際化が進み,外国人と地域住民の異文理解を深める多文化共生策が求められている.そこで本研究では移民・難民大国であるドイツにて,地域の移民・難民の統合を目的としている「多文化共生ガーデン(IG)」活動に着目し,その取り組み実態を明らかにし,活動が社会に根付いた経緯について,ドイツの社会背景を踏まえながら考察する.調査の結果,IG活動は自治体レベルの草の根活動として始まり,支援組織の支援によりドイツ全土に拡大したことを把握した.また,ハノーファー市におけるケーススタディからは,IGが移民・難民を社会的に統合する場として機能する一方で,ドイツ人の参加が希薄になっているという課題を得た.
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