2018 年 16 巻 4 号 p. 351-356
本報告の目的は、地域経済やコミュニティを活性化することを目的としたBIDの費用対効果を明らかにすることにある。ニューヨーク市フラットアイアン地区にあるBIDは商業不動産の所有者から$0.1/sfの負担金を徴収している。この負担金の妥当性を検証するため、本報告ではヘドニックアプローチを用いてBID内外の賃料差を計算した。その結果、BID内のオフィス賃料は、BID外よりも$0.9/sf(1.4%)高く、BID内の店舗賃料はBID外よりも$1.0/sf(0.7%)上回っていた。一方、賃貸住宅の賃料差は、1棟あたり$1しか支払っていないにも関わらず、$234/unit(7.4%)と他の用途よりも大きく超える水準にある。それゆえ、今後はそれぞれの建物用途において負担金の設定やBIDの費用と効果のバランスの確保についてさらに議論が必要である。