本報告では、2013年の台風第30号被災後のフィリピン・タクロバン市の再定住地を対象として、関連資料分析と現地調査を通じて、定住につながる移転プロセスとコミュニティ構築の関係について考察した。得られた知見として、1)復旧復興計画では参加型を方針として掲げていたが、再定住地の住宅設計や計画策定における住民の関与はなかったこと、2)GMAKVでは余剰空間を活用したコミュニティ活動がみられ、住宅前のスペースや街路の両側に面した住宅配置が交流のしやすさに繋がっていたこと、3)移転プロセスでは、スウェット・エクイティの導入、再定住地計画における余剰空間の確保、交流が生まれやすい住宅・街路の配置が有用と考えられることを指摘した。