都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
インドネシアにおける住民参加型予算配分(Musrenbang)の評価
Batu 市の例
シンタ クスマ プリマストウテイ李 燕
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2018 年 17 巻 2 号 p. 223-226

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抄録

参加型予算配分(PB)は、一般市民が公的な予算を配分することに参加できる仕組みで、民主主義推進の有効なツールと見なされている。増加しつつあるPB について今まで複数の研究が異なる視点から調査しているが、より包括的な理解ができる評価方法までは至っていない。本研究では、Batu 市政府の事例を用いて、インドネシアにおけるPB、即ち「Musrenbang」と呼ばれる取り組みを4 つの側面から評価を行った。定性的および定量的アプローチの両方を用いて、詳細な聞き取り調査、非参加者観察、文書化、アンケート、評価シート等を通じてデータ収集を行った。その分析結果として、Batu 市はPB としてまだ基本的なレベルにしか達していないと判断する。財政/予算面では、Musrenbang が用いられる資源、例えば特定の割り当て、課税政策などはまだ十分ではない。市民参加と地方自治体参加の面でみると Musrenbang は意思決定のプロセス、除外された者の存在、監視と制御の仕方、情報の共有と普及、プロジェクトの完結方法、立法上の位置づけに問題があると析出された。さらに、Musrenbang は地方分権化、農村エリアや空間的均衡への注意を払っていないことが分かった。しかし、Musrenbang は国家計画と予算策定の枠組みの中で制度化されていることは評価すべき点であると言えよう。

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