2018 年 17 巻 2 号 p. 227-230
密集市街地の路地空間においては、住民による戸外での園芸活動が特徴的で緑豊かな景観を創出している。本研究は、こうした景観の保全・創出に寄与する知見を得るために、1)密集市街地整備事業が路地園芸活動に与える影響と、2)路地園芸活動と社会関係資本の関係性について、東京都足立区と荒川区の事例地区で検証した。その結果、1)事例地区では、密集市街地整備事業が路地園芸活動の縮小に与える影響は認められなかった。また、2)路地園芸活動は社会関係資本の発達に貢献しているが、若い年代の路地園芸実施割合やコミュニケーションへの参加程度が低いことから、住民の世代交代が進むことで路地園芸景観が失われていってしまう可能性が考えられた。