2018 年 17 巻 2 号 p. 283-288
制度創設から4年余りが経過し、全国の多くの自治体が立地適正化計画を策定・公表している。本研究ではまず、立地適正化計画の策定状況を概観するとともにパブリックコメントに寄せられた市民意見の論点を整理し、検討すべき課題の抽出を行った。その結果に基づいて自治体の計画策定プロセスを精査し、計画意図と内容、市民意見の関係性を整理し、立地適正化計画の意義と課題について考察した。都市の現状分析や誘導区域外となる地域の扱いといった論点では市民と自治体との間で認識の不一致が生じやすく、戦略や方針の共有が不十分な場合には現状分析が計画のアカウンタビリティに繋がらない実態や、積極的な区域外指定という考え方が浸透していない現状が明らかになった。