都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
中山間地域における土地利用の変遷とその要因の分析
水俣市久木野を事例に
境 翔悟一ノ瀬 友博
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2019 年 17 巻 4 号 p. 393-399

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抄録

本研究では、対象地域である久木野の土地利用の変遷と、その要因の分析を行った。久木野では、戦前において多様な土地利用が存在していたが、農地を除くほとんどの土地は植林地に置き換えられてしまった。伝統的な土地利用は地理的条件や地域住民の営みと深く関わっている一方、1984年にはそれらとの関係がほとんど見られなかった。分析結果をもとに、久木野における伝統的な土地利用を集落及び農地、里山斜面林、草地、奥山に類型化した。里山は日本において一般的であった土地利用類型で、久木野においては雑木林としてだけでなく、焼畑などの生産活動も行われていたことがわかった。しかしながら戦後、それらのほとんどが植林地に変わることとなった。その植林地の多くは急傾斜地で、林業従事者不足により管理放棄されるケースが増えている。そのようなかつて里山であった土地に、植林地に変わる持続的な土地利用を考える必要性が本研究によって示唆される。

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