2023 年 22 巻 1 号 p. 76-82
我が国ではここ数年で受動喫煙に対する意識が大きく変化し、様々な施設や街で分煙や禁煙が進んでいる。本研究の目的は、非喫煙者を受動喫煙から守りつつ、喫煙者も適切に喫煙できることを念頭に置いて、都市における公衆喫煙所の最適配置の考え方を検討することである。本研究では新聞記事検索と実地調査によって喫煙者と非喫煙者双方の需要のトレードオフ要因を把握し、その指標をもとに実際の都市で配置検討を行う。その結果、高評価な喫煙所に強い影響を示す指標として「歩道の幅」、「地域従業者数」、「保育園と幼稚園までの距離」、「公園までの距離」、「学校までの距離」が挙がった。これらをもとに配置検討した結果、喫煙所個数が増えるほど、煙が分散されて受動喫煙防止に繋がる一方でコストパフォーマンスは悪化するため、対象都市の実状に合った妥当な喫煙所個数の検討が必要になることが示唆された。